「海洋深層水」は、ミネラル成分が豊富

「海洋深層水」は水深二〇〇メートル以下の深海から採水された水で、ミネラルが豊富で体によいといわれ、ペットボトル入り飲料水だけでなく、豆腐などの食品、化粧水や浴用水など、関連商品が年々増加している。

海洋深層水は表面の海水と違って、太陽光が届かないため、藻や細菌の繁殖が少なく清浄で、しかもマグネシウムなどのミネラル成分を豊富に含んでいる。深層水の存在は古くから知られていたが、利用研究が始められたのは二〇年ほど前で、その研究過程で一般の水にはない特性が分かってきた。なかでも含まれるミネラル成分が、生活習慣病や中性脂肪、血糖値の低下に効果があるという研究結果が、テレビや新聞、雑誌などに取り上げられ、「海洋深層水ブーム」に火がついた。

現在販売されている関連商品の中心は飲料用で、ミネラルウォーター売場に並べられている。そのミネラル成分をミネラルウォーターと比べると、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどが多く含まれ、カルシウムは少ないという結果が出ている。海洋深層水もミネラルウォーターの一種と考えてよいが、ミネラルバランスがよくマグネシウムが豊富なことが特長とされている。

特にマグネシウムは体の代謝作用を改善し、糖尿病などの生活習慣病、心臓病、動脈硬化予防のために重要なミネラルで、その働きで中性脂肪や血糖値が正常値まで低下したという研究結果も発表されている。前にテレビのワイドショーで、飲んだ人の血液がサラサラになったという実験結果が大きく報道されたことがあった。これもマグネシウムが関係していることも考えられるが、まだ研究途上でその因果関係が十分解明されているとはいえない。

深層水は「きれいな海水」といっても、海水をそのまま飲むことはできないので、脱塩装置などにより塩分やミネラル分を除き、飲用に適するように調整して製品化されている。また脱塩、脱水した深層水の濃縮液を、一般のミネラルウォーターに混合したものもある。したがって売られている商品は、深層水そのままというものはなく、その成分内容も商品によりかなり差があると見てよい。

海洋深層水商品は、一般のミネラルウォーターに比べてミネラル成分が多く、健康によい水と考えられるが、まだ研究途上で効能や効果について科学的、医学的に裏付けるデータが不足している。したがって本当に体にいい水かについては、なお今後の研究が進むのを待たなければならない。「体にいいかもしれないミネラルウォーターの一種」と考えた方がいいが、ナトリウムやマグネシウムが多いので、決しておいしい水とはいえないようだ。