環境省が指定した「名水百選」にはワケがある

「名水百選」は、1985(昭和60)年に環境省(旧環境庁)が選んだ全国に点在する名水です。次世代にこのすばらしい水環境を継承しようというねらいです。 主たる選定基準はつぎのようになっています。きれいな水で、古くから生活形態、水利用等において水質保全のための社会的配慮が払われているもの。湧水などで、ある程度の水量を有する良質なものであり、地方公共団体などにおいてその保全に力を入れているもの。

いわゆる「名水」として故事来歴を有するもの。そのほかとくに自然性が豊かであるが、希少性、特異性等を有するなど優良な水環境として後世に残したいもの。また、湧水(井戸を含む)および河川などを選定対象としました。ここでは、次の5つの名水を紹介します。

『羊蹄のふきだし湧水』は、北海道虻田郡京極町にあります。羊蹄山の地下水が湧き出したもので、町の水道、工場用水として一部利用されています。付近一帯は「ふきだし公園」として京極町が管理し、多くの人々に親しまれています。この水がおいしい秘密は、羊蹄山に隠されています。羊蹄山は標高1898m、床面積が104km2あります。透水性が高いため、降水のほとんどが地下へ浸透し、山腹に渓流をつくらないかわりに水量豊かな湧水となって地表に出てくるのです。地中から養分をたっぷりと吸収し、さらに地下水脈が長いためじっくりと熟成を重ねた湧水です。この湧水がほどよい硬度とまろやかな味わいをもっているのは、その為です。

岩手県下閉伊郡岩泉町の「龍泉洞」には、エメラルドグリーンに輝く地底湖があり、この『龍泉洞地底湖の水』が「名水百選に選ばれています。1日あたり1万7000トン以上という豊富な水が湧き出ていて、町では水道水としても利用しています。龍泉洞は天然記念物にも指定されていて、地元自治体や住民たちが保全に力を入れています。

この水はカルシウムなどの天然ミネラルを豊富に含んだ弱アルカリ性の天然水です。とくにカルシウムの含有量は国内で群を抜いていて、地元では昔から「ひと囗飲めば3年長生きする」と伝えられています。この水の集水区域はほとんどが広葉樹林で、しかも工場、田畑など環境汚染が少なく良好な自然環境のなかで樹幹流水となり、太古の昔は海底にあった石灰岩層にしみ込み、長い年月を経てろ過されて地底湖に湧き出てくるのです。