水道水の問題点

ウォーターサーバーの利用が増えてきました。理由は、水道水の安全性に疑問視されているからです。

そこで、ウォーターサーバーの比較をする際に、改めて水道についても考えてみましょう。

浄水場で塩素を使っても、水が汚れていなければトリハロメタンは生成されないので、きれいか地下水を原水としている水道なら安心かというと、決してそうではなかった。一九八一年にアメロカーサンノゼ市にある、シリコンバレーと呼ばれている地域の井戸水から、五八〇〇ppbといら高濃度の有機溶剤が検出され、これも発ガン性物質とされているため、住民に大きな不安を与えた。IT企業が集まるシリコンバレーで起きたことから「IT汚染」と呼ばれ、有機溶剤のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどを洗浄剤として使っている、半導体工場が汚染源として特定された。

わが国でも一九八一年に当時の環境庁が、全国一五都市にある浅井戸一〇八三、深井戸二七七{について地下水調査を実施したところ、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、}トジクロロエチレンなどの有機溶剤成分が基準をオーバーしていることが判明した。有機溶剤は半導体工但ばかりでなく、クリーニング、塗装、メッキなどの工場でも多く使われていることから、全国的な汚染の広がりが懸念された。

一方、都会から離れていて、工場排水による汚染がない地域の水道にも問題があった。高度成長時代にも自然環境に恵まれた山村などがゴルフ場になり、広い芝生に生える雑草を除くため、除草剤などの農薬が散布されている。その農薬が地中に浸み込んで地下水を汚染したり、川に流れ込んで水源を汚染する「農薬汚染」も問題となった。除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの農薬は通常は検出される濃度は低いが、多く使われる春から夏にかけて濃度が高くなり、除草剤の中には塩素と化合して毒性の強い物質を合成するものもある。トリハロメタン以外にも、有機溶剤や農薬などの有害物質が次々と明らかになり、人々の水道水への不安や不信は一段と深まり、水道水は「危ない水」という印象を誰もが持つようになってしまった。

その原因として考えられるのは、浄水処理工程での塩素の使用量が増えたことだ。塩素には殺菌だけでなく、酸化という作用もある。酸化作用によって水中のアンモニア性窒素、溶解性鉄分、溶解性マンガン、有機物などを酸化し除去する目的でも使われている。アンモニア性窒素は下水などの生活排水に含まれるもので、水源の河川や湖の水汚染が進んだため、それを浄化するために酸化剤としての塩素の使用量が増え、昔に比べてカルキ臭が一層強くなったわけだ。

「海洋深層水」は、ミネラル成分が豊富

「海洋深層水」は水深二〇〇メートル以下の深海から採水された水で、ミネラルが豊富で体によいといわれ、ペットボトル入り飲料水だけでなく、豆腐などの食品、化粧水や浴用水など、関連商品が年々増加している。

海洋深層水は表面の海水と違って、太陽光が届かないため、藻や細菌の繁殖が少なく清浄で、しかもマグネシウムなどのミネラル成分を豊富に含んでいる。深層水の存在は古くから知られていたが、利用研究が始められたのは二〇年ほど前で、その研究過程で一般の水にはない特性が分かってきた。なかでも含まれるミネラル成分が、生活習慣病や中性脂肪、血糖値の低下に効果があるという研究結果が、テレビや新聞、雑誌などに取り上げられ、「海洋深層水ブーム」に火がついた。

現在販売されている関連商品の中心は飲料用で、ミネラルウォーター売場に並べられている。そのミネラル成分をミネラルウォーターと比べると、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどが多く含まれ、カルシウムは少ないという結果が出ている。海洋深層水もミネラルウォーターの一種と考えてよいが、ミネラルバランスがよくマグネシウムが豊富なことが特長とされている。

特にマグネシウムは体の代謝作用を改善し、糖尿病などの生活習慣病、心臓病、動脈硬化予防のために重要なミネラルで、その働きで中性脂肪や血糖値が正常値まで低下したという研究結果も発表されている。前にテレビのワイドショーで、飲んだ人の血液がサラサラになったという実験結果が大きく報道されたことがあった。これもマグネシウムが関係していることも考えられるが、まだ研究途上でその因果関係が十分解明されているとはいえない。

深層水は「きれいな海水」といっても、海水をそのまま飲むことはできないので、脱塩装置などにより塩分やミネラル分を除き、飲用に適するように調整して製品化されている。また脱塩、脱水した深層水の濃縮液を、一般のミネラルウォーターに混合したものもある。したがって売られている商品は、深層水そのままというものはなく、その成分内容も商品によりかなり差があると見てよい。

海洋深層水商品は、一般のミネラルウォーターに比べてミネラル成分が多く、健康によい水と考えられるが、まだ研究途上で効能や効果について科学的、医学的に裏付けるデータが不足している。したがって本当に体にいい水かについては、なお今後の研究が進むのを待たなければならない。「体にいいかもしれないミネラルウォーターの一種」と考えた方がいいが、ナトリウムやマグネシウムが多いので、決しておいしい水とはいえないようだ。

環境省が指定した「名水百選」にはワケがある

「名水百選」は、1985(昭和60)年に環境省(旧環境庁)が選んだ全国に点在する名水です。次世代にこのすばらしい水環境を継承しようというねらいです。 主たる選定基準はつぎのようになっています。きれいな水で、古くから生活形態、水利用等において水質保全のための社会的配慮が払われているもの。湧水などで、ある程度の水量を有する良質なものであり、地方公共団体などにおいてその保全に力を入れているもの。

いわゆる「名水」として故事来歴を有するもの。そのほかとくに自然性が豊かであるが、希少性、特異性等を有するなど優良な水環境として後世に残したいもの。また、湧水(井戸を含む)および河川などを選定対象としました。ここでは、次の5つの名水を紹介します。

『羊蹄のふきだし湧水』は、北海道虻田郡京極町にあります。羊蹄山の地下水が湧き出したもので、町の水道、工場用水として一部利用されています。付近一帯は「ふきだし公園」として京極町が管理し、多くの人々に親しまれています。この水がおいしい秘密は、羊蹄山に隠されています。羊蹄山は標高1898m、床面積が104km2あります。透水性が高いため、降水のほとんどが地下へ浸透し、山腹に渓流をつくらないかわりに水量豊かな湧水となって地表に出てくるのです。地中から養分をたっぷりと吸収し、さらに地下水脈が長いためじっくりと熟成を重ねた湧水です。この湧水がほどよい硬度とまろやかな味わいをもっているのは、その為です。

岩手県下閉伊郡岩泉町の「龍泉洞」には、エメラルドグリーンに輝く地底湖があり、この『龍泉洞地底湖の水』が「名水百選に選ばれています。1日あたり1万7000トン以上という豊富な水が湧き出ていて、町では水道水としても利用しています。龍泉洞は天然記念物にも指定されていて、地元自治体や住民たちが保全に力を入れています。

この水はカルシウムなどの天然ミネラルを豊富に含んだ弱アルカリ性の天然水です。とくにカルシウムの含有量は国内で群を抜いていて、地元では昔から「ひと囗飲めば3年長生きする」と伝えられています。この水の集水区域はほとんどが広葉樹林で、しかも工場、田畑など環境汚染が少なく良好な自然環境のなかで樹幹流水となり、太古の昔は海底にあった石灰岩層にしみ込み、長い年月を経てろ過されて地底湖に湧き出てくるのです。